強力な殺菌作用を持ち、抗生物質がない時代には薬として使われたこともあるという長ネギ・玉ねぎ。この殺菌作用の源は、にんにくにも含まれているアリシンです。長ネギ・玉ねぎにもにんにくと同じような抗酸化作用や血液サラサラ効果、疲労回復効果などがあります。
またアリシンはビタミンB1が体内で持続的に働くのを助けてくれます。ビタミンB1を多く含む豚肉やきな粉、大豆食品などを一緒にとる事で老化を防ぐ効果があり、アンチエイジング面でも優れた食材です。
長ネギの葉の部分には、免疫力をアップして風邪などを防ぐビタミンC、目や皮膚、粘膜などの健康を保ってくれるβーカロテン(ビタミンA)が豊富です。ビタミンの中でもトップクラスの抗酸化作用を持つ「ビタミンACE」のうち2つが含まれ、体がサビつくのを強力に防いでくれます。
長ネギや玉ねぎは、ニンニク、ニラ、らっきょうなどと同じネギ属に分類されています。ネギ属の野菜は食用だけでなく生薬として使われているのも多く、長ネギや玉ねぎも昔から薬用野菜として重宝されてきました。その薬効は実に幅広く、がん予防効果もその中の一つに含まれています。
(硫化アリル)解毒と抗酸化でがんを防ぐ
玉ねぎを切ると涙が出るのは、アリルプロピオンという催涙物質が原因です。このほかにも数種類の刺激物が混在しています。これらの刺激物質は揮発性で、玉ねぎを切った時に酵素の働きで発生します。
この刺激物質の一つが、ニンニクやニラにも含まれるイオウ化合物の硫化アリルです。硫黄化合物は単に匂いや催涙の原因になるだけでなく、発がん抑制物質としても注目されている存在です。
がんは、いきなり体内にポンと出現するわけではなく、発がん物質などの影響や、活性酸素によって細胞が酸化され、がん細胞が生み出されます。このがん細胞が次第に増殖してがんが発症するのです。
硫黄化合物は、このがんの発生を中途で食い止める二つの作用を持っています。一つは、発がん物質を無毒にする解毒酵素を活性化させる作用、もう一つは活性酸素を除去する抗酸化作用です。硫黄化合物は、この二つの作用で発がんにストップをかけてくれるのです。
(長ネギは風邪の引き始めによく効く)
長ネギは昔から風邪の妙薬としても知られています。これは長ネギの白い部分に、発汗・解熱・消炎作用があるためです。白い部分を細かく刻み、味噌や生姜と混ぜ、お湯を注いで飲むと、汗が出て熱が下がると言われています。青い部分もビタミンやカルシウムなどの栄養部分が多く、健康効果を考えたらどちらも残さず食べた方が効果的です。