「玉藻」として万葉集にも数多く登場する海藻。日本では縄文時代から食べられ、秦の始皇帝が「東の国に不老長寿の薬あり」と探しに行かせたのが昆布だったという言い伝えがあります。
現在も日本の食卓に欠かせない海藻がわかめと昆布ですが、どちらもミネラルやビタミンなどの栄養素がたっぷり含まれています。体の酸化や糖化を防いで新陳代謝を活発にし、骨も丈夫にしてくれます。どちらもぬめりがありますが、ぬめりの正体は食物繊維。なかでも多いのがアルギン酸という水溶性の食物繊維です。アルギン酸には食べ物の塩分を排出して血圧の上昇を抑える働きや、血液をサラサラにしてコレステロールを減らす働き、腸内細菌のバランスを整える働きもあります。水に溶けずに便のかさを増やす不溶性の食物繊維もたっぷり含まれているため、ダイエット効果もあります。
ミネラルと水溶性食物繊維に期待
海藻類に期待できる栄養成分は、ミネラルと水溶性食物繊維。海藻にはミネラルが豊富。
昆布、わかめ、ひじき、海苔などは・・・鉄
昆布、わかめ、ひじき、海苔、あおさ・・・カルシウム
を多く含みます。
鉄とカルシウムの吸収をよくするには、たんぱく質とビタミンCが必要。また、水溶性食物繊維には、血糖値や血圧の上昇を抑え、血中コレステロール値を下げる働きがあります。
なかでも注目したいのは昆布、もずく、メカブなどのぬめりの元となる水溶性食物繊維のフコイダン。ヒトではまだ実証されていませんが、マウスを使った研究ではメカブ由来のフコイダンが免疫細胞を活性化し、がん細胞の増殖を抑えたことが報告されています。
味噌汁の塩分が気になる、そんな時は具材に加えて
血管を若々しく保つために、その負担を増やす高血圧は避けたいところ。塩分(ナトリウム)の過剰摂取で血圧は上がりやすく、和食はヘルシーだが塩分が多くなりがち。なかでも味噌汁は1杯1.5~2.0程度の塩分を含む。しかし海藻を具材にすれば味噌汁からの塩分摂取は極端に気にしなくていいと思います。
わかめ、削り昆布、あおさ、海苔など、味噌汁と相性の良い海藻類にはカリウムが豊富。カリウムには過剰なナトリウムの尿中排泄を促す作用があるので、余分な塩分が体外に排出されやすいのです。加えて海藻に含まれるアルギン酸などの水溶性食物繊維も、塩分の排出にひと役買うという事です。
おいしくても、摂り過ぎはNG
昆布、わかめ、ひじき、もずくに多いミネラルにヨウ素がある。ヨウ素は甲状腺に取り込まれて甲状腺ホルモンの原料となり、身体全体の新陳代謝の促進に関わっています。けれども、ヨウ素を摂り過ぎると、逆に甲状腺からのホルモンの分泌が悪くなることがあります。ただし、健康な人が日常食べるくらいの量やたまに多く食べる分には、ほぼ心配はいらないと思います。ヨウ素の過剰摂取が気になるなら、乾物を戻す際にたっぷりの水に20分くらい漬け、よく洗ってヨウ素を落とすようにするといいでしょう。水に20分間漬けると、ヨウ素は昆布で90%以上、わかめとひじきでは約30%溶出することが報告されています。